コロナ禍のアメリカ住宅不動産
WHOのパンデミック表明から約半年がたちました。感染拡大防止対策により多くの人がテレワークやオンライン授業を余儀なくされ、この半年の間に我々のライフスタイルは大きく変わりました。それと同時に、人々が家に求める条件も変化しました。コロナ後の「ニューノーマル」の社会でどう快適に暮らしていくか、今私たちは「住」について深く考えさせられています。
コロナ禍でのアメリカの住宅不動産市場は、今のところ安定しています。厳しい外出制限のあった3月と4月は大きく落ち込んだものの、5月以降は需要が大幅に増えました。リーマンショックの時は経済状況悪化とともに不動産が暴落しましたが、コロナショックではこれだけ経済が落ち込んでいるにもかかわらず、住宅購入意欲が冷え込むどころか逆に高まっています。
CoreLogicの調査によると、6月の全国の住宅価格は前年比でほぼ5%上昇しました。テキサス州の主要なメトロでは、ダラス地域の価格は2019年6月よりもほぼ3.6%上がり、フォートワースでは5%以上、そしてオースティンはなんと7%以上上昇しました。
価格上昇の背景には、これらの理由が考えられます。
· 手ごろな価格の売り物件が不足している
· 歴史的に低い住宅ローン金利のおかげで、購買力が1年前より10%上昇している
· 金利低下が消費者、特に若い世代の購買意欲を高めている
· ホームオフィス、広いスペース、プライバシー等を求め、住み替えを考える人が増加している
· リモートワークの普及で、都市部から40分圏内の郊外の需要が増えている
· 政府の補助金や救済措置により、差し押さえ物件がまだ少ない
住宅ローンの低金利と需要が供給を上回った状態がこのまま続けば、しばらくは価格の上昇が続くと専門家は予想しています。ただ、景気悪化が深刻化し差し押さえ物件が増えてくると、値段が徐々に下がる可能性は十分にあります。前代未聞の状況下にあり、この先どうなるかは誰にもわかりませんので、今後の市場動向を注意深く見守っていく必要がありそうです。