アメリカの不動産データベース

アメリカでは不動産取引情報ツールが充実しています。NAR(全米リアルター協会)が管理するMLS(マルティプル・リスティング・サービス)という不動産業者向け物件情報システムには、物件のあらゆるデータが登録されており、不動産取引を円滑に行うための重要なツールとなっています。MLSのデータベースには、所有者名、所有者の住所、広さ、築年、物件価格とその推移、間取り、現在と過去の写真、学区、建物比率、固定資産税、登記情報、過去の売買と賃貸履歴、差し押さえ歴、修繕履歴、災害リスク、周辺の人口データなど、豊富な物件の情報が登録されています。一般の方はMLSにアクセスできませんが、不動産業者を通して分析に必要な情報を得ることができます。

一方、一般の人でも物件についての基本情報や過去履歴が見れる仕組みになっています。アメリカでは、日本の権利証に相当するものは存在せず、管轄の役所に登録される仕組みになっています。そして、役所に登録されている不動産情報は公に公開されているので、誰でも役所のデータベースにアクセスできます。また、ZillowやRedfinといった不動産閲覧サイトでは、MLSと公共のデータをもとに、個人情報と不動産業者しか閲覧できない情報を除いたデータをわかりやすく掲載しています。ですから、誰でも物件のスペック、築年数、過去の売買履歴、物件価格推移、固定資産税推移、写真、学区、周辺の物件情報、現在の予測価格などをネットで確認する事ができます。

このように、アメリカでは不動産情報の公開が義務付けられているので、売主が買主を騙したり、情報独占によって価格をつり上げたり、非公開物件を持つことはできません。こうしたオープンな仕組みが、アメリカの不動産取引は透明性が高く、安全で平等と言われる所以です。

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