住宅不動産市場の動向

2020年は経済と不動産市場にとって明るい年として始まりましたが、コロナウイルスの世界的大流行と深刻な景気後退によってすぐに脱線しました。その後景気は持ちなおしましたが、完全に回復したわけではなく、経済の様々な部門に勝者と敗者を生み出しました。

 

不動産部門では、ホテルや商業施設は大きな打撃を受けたのに対し、住宅市場はコロナ前を上回る良い年となりました。外出制限によって一気に落ち込んだ住宅市場は見事にV字回復し、秋には住宅価格は前年比で10%ほど急騰しました。その大きな理由は需要と供給のアンバランスにあります。不動産売買が最も活発な春から夏にかけて、感染拡大防止対策によって売り手が売り控えたため、住宅在庫が少ない状態のまま買い手が続々と市場に戻ってきました。この買い手と売り手の不均一なリターンは住宅市場の熱狂を生み出し、販売数と値段を一気に最高値に押し上げました。さらに、低金利政策とコロナによるライフスタイルの変化の影響で、夏以降もずっと高い需要が続いたため、秋から冬にかけては不動産市場が鈍化するという季節的なパターンは完全に打ち砕かれました。

 

2021年の住宅市場は、2020年に見られた激しい変動よりもはるかに正常なパターンに落ち着くと予想されます。買い手の需要は高いままですが、売り手が市場に戻ってくることによって在庫が増え、住宅販売が促進され、住宅価格は新しい高値に達する見込みです。

 

参考:https://www.realtor.com/research/2021-national-housing-forecast/

Realtor.comより

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